バターの基本を知ろう
私たちの食卓に欠かせないバター。パンに塗ったり、お菓子作りに使ったり、料理の風味を引き立てる大切な存在です。そんなバターには「普通のバター」と「発酵バター」があります。名前は聞いたことがあっても、実際にどう違うのかは意外と知られていないかもしれません。本記事では、両者の特徴や違い、料理での使い分け方を解説します。
普通のバターとは?
まずは、もっとも一般的に手に入る「普通のバター」から見ていきましょう。普通のバターは、生クリームをそのまま撹拌(かくはん)し、脂肪分を固めて作られます。シンプルな製法であるため、乳本来の香りやすっきりとした味わいが特徴です。
普通のバターの特徴
- 軽やかでクセのない味
- パンや料理に合わせやすい
- お菓子作りにも汎用性が高い
日本で市販されている多くのバターはこの「普通のバター」にあたり、家庭の冷蔵庫にある定番品と言えるでしょう。
発酵バターとは?
一方で「発酵バター」は、乳酸菌を生クリームに加えて発酵させた後に撹拌して作られます。この発酵の過程によって、独特の芳醇な香りとコクが生まれます。バター自体にほのかな酸味が加わり、料理やお菓子に深みを与えるのが特徴です。
発酵バターの特徴
- 乳酸菌による芳醇な香り
- 濃厚でコクのある味わい
- 焼き菓子やソース作りで風味が際立つ
特にフランスやヨーロッパでは発酵バターが主流であり、クロワッサンやビスケットなど、多くの伝統菓子に使われています。
普通のバターと発酵バターの違い
では、実際に両者の違いを整理してみましょう。
製法の違い
普通のバターは「そのままのクリーム」を撹拌するのに対し、発酵バターは「乳酸菌を加えて発酵させたクリーム」を使います。発酵というひと手間が、香りや味の違いを生み出します。
風味の違い
普通のバターはさっぱりと軽い風味で、素材の味を邪魔しないのが魅力。一方で発酵バターはコクと香りが強く、バター自体の存在感を楽しめます。トーストに塗ると、香りの広がり方がはっきりと違うのを感じられるでしょう。
文化的背景の違い
日本では普通のバターが主流ですが、フランスやヨーロッパでは発酵バターが一般的です。特にフランスの伝統菓子や料理には欠かせない存在で、料理文化の一部として根付いています。
料理での使い分け
普通のバターと発酵バターは、それぞれに適した使い方があります。どちらを選ぶかで、料理やお菓子の仕上がりが変わるため、特徴を理解して使い分けるとより楽しめます。
普通のバターが向いている料理
- 日常のトーストやパン
- 和食やあっさりと仕上げたい料理
- バターを前面に出さず、素材の味を引き立てたいとき

例えば、バターライスやシンプルなクッキーなどでは、軽やかな普通のバターが向いています。クセがないため、素材とのバランスがとりやすいのが魅力です。
発酵バターが向いている料理
- クロワッサンやデニッシュなどのパン
- ビスケットやサブレ、フィナンシェなどの焼き菓子
- ソースやバターソテーなど、風味を強調したい料理

発酵バターは香りが強いため、洋菓子やリッチな料理にぴったりです。バターそのものの存在感を楽しみたいときにおすすめです。
発酵バターの魅力を引き出すレシピ例
ここでは発酵バターを活かせる具体的な食べ方をいくつかご紹介します。簡単に試せるものばかりなので、ぜひ挑戦してみてください。
トーストにのせてシンプルに
焼き立てのトーストに発酵バターをのせるだけで、芳醇な香りが広がります。普通のバターでは感じられない奥深さがあり、朝食がちょっと贅沢に変わります。
クロワッサンやパイ生地に使用
発酵バターは生地に折り込むと香りが引き立ち、サクサクとした食感が際立ちます。洋菓子店やパン屋で発酵バターを使ったクロワッサンが人気なのも納得です。

ソースやステーキにひと工夫
ステーキを焼いた後、仕上げに発酵バターをのせると、肉の旨みとバターのコクが合わさって深い味わいに。魚料理や野菜のソテーでも同じように活躍します。
普通のバターを活かす使い方
もちろん、普通のバターにも活躍の場はたくさんあります。例えば、家庭のお菓子作りにおいては、バターの香りを控えめにしたいときに最適です。また、日常的に使うには価格面でも手頃で、量を気にせずたっぷり使えるのも利点です。
バターライスや炒め物
お米や野菜をバターで炒めるときは、軽やかな風味の普通のバターが使いやすいです。バターの香りが主張しすぎないため、素材の味を邪魔しません。
和食との相性
和食では醤油や味噌などの発酵調味料を使うため、香りが強すぎるとバランスを崩すこともあります。普通のバターなら、ちょうどよいコクを加えながらも和の味を引き立ててくれます。
スーパーでの選び方
発酵バターと普通のバターを買うとき、パッケージを見ても違いが分かりにくいことがあります。そこで、選ぶときのポイントを押さえておきましょう。
表記を確認する
パッケージには「発酵バター」と明記されていることが多いです。普通のバターには特別な表記がない場合がほとんどで、単に「バター」とだけ書かれていることが多いです。
価格の違い
発酵バターは製造に手間がかかるため、普通のバターより少し高めに設定されています。そのため、特別な料理やお菓子作りに使うと満足度が高いでしょう。
国産と海外製
発酵バターはフランスやヨーロッパの輸入品も多く、風味が強い傾向があります。国産の発酵バターは比較的マイルドで、日本の料理にも合わせやすいです。好みに合わせて選ぶのも楽しいポイントです。
保存方法のポイント
バターは風味が大切な食材なので、保存方法も重要です。特に発酵バターは香りが飛びやすいため、正しく保存しましょう。
冷蔵保存
開封後は冷蔵庫で保存し、できるだけ早めに使い切るのが基本です。バターケースを使うと乾燥や匂い移りを防ぎやすくなります。
冷凍保存
長期保存したい場合は、小分けにしてラップで包み、さらに密閉袋に入れて冷凍保存がおすすめです。使うときは必要な分だけ取り出し、自然解凍してから使うと風味を損ないにくいです。
風味を守るコツ
バターは強い匂いの食材のそばに置くと匂い移りしやすいため注意しましょう。特に発酵バターは香りが繊細なので、保存環境を整えることでおいしさを長持ちさせられます。
発酵バターと普通のバターの使い分けを楽しむ
ここまで見てきたように、普通のバターと発酵バターにはそれぞれの魅力があります。発酵バターは香りとコクが強いため、特別な料理やお菓子作りにぴったり。一方で、普通のバターは日常使いしやすく、幅広い料理に合わせられる万能さがあります。
例えば、普段は普通のバターを使い、週末や来客時などには発酵バターを取り入れるなど、シーンによって使い分けると食卓の楽しみが広がります。
まとめ
バターはシンプルな食材でありながら、製法の違いによって「普通のバター」と「発酵バター」という大きな違いが生まれます。普通のバターは軽やかで扱いやすく、日常的に使える定番品。発酵バターは芳醇な香りとコクがあり、特別感を与えてくれる存在です。
どちらが優れているというよりも、それぞれに役割があります。料理やお菓子の仕上がりを考えながら選ぶことで、食卓がぐっと豊かになるはずです。次にスーパーでバターを手に取るときは、ちょっとした違いを意識して選んでみてはいかがでしょうか。
や味噌などの発酵調味料を使うため、香りが強すぎるとバランスを崩すこともあります。普通のバターなら、ちょうどよいコクを加えながらも和の味を引き立ててくれます。

